キャッチボール 第3話 僕は、先の見えない階段を、ゆっくりと歩いていく。
楽しい思い出を思い出しながら、龍吾が、待っていると信じて。
キャッチボールしようと言われたが、僕は、龍吾を気遣った。
「疲れているだろうし…今日はいいよ。」
「大丈夫。」
龍吾は笑っていた。
「でも…」
僕は戸惑う。
「じゃあ明日8時にここな!」
「うん。ありがとう。実は僕…キャッチボールしたことなくて…」
すると龍吾が、太陽みたいな笑顔で、
「おっ!じゃあ明日、楽しませてやっからな。」僕は大きくうなずいた。しばらく二人で顔を合わせてバカみたいに笑っていた。でも…龍吾が突然深刻な顔になって、僕に語りかけた。
「みーくんってさ、何で野球見てたの?」
僕は黙り込む。さっきの笑顔も消えた。
「本当はこんなこと聞きたくなかったんだけどな。」
「……。」
「やっぱり、何かあったのか?」
僕の顔が、みるみる悲しい顔になっているのが分かった。
「どうしたみーくん。」やがて、ほおを涙が横切り、その場に座り込んでしまった。
龍吾があわてて詰め寄る。
「お、おい!どうしたんだよ。」
僕がなぜ、死にたかったのか。龍吾にすべてを、伝えるときがきた。