ハーフムーン (45)

 2009-06-20投稿
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真ん中の小屋は、焼きそば屋だった。

焼きそばが大好物なマモルは、今度は俺の出番とばかりに前に進み、注文を始めた。
「おーい、そこのオヤッサン!焼きそば二……つ…」

マモルが、焼きそばを焼いていた年配の男と目が合った瞬間、お互いの表情が凍りついた。

焼きそばを焼いている男は、なんとマモルが働いている風呂屋のオヤッサンだった。

「ホントに…オヤ…サン」
マモルは小さくつぶやいた。

――オヤッサンは、怒ってここまで追いかけて来たんだ、きっと。

マモルの頭の中には、どう言い訳しようか、そればかりが浮かんでいた。

しかし、どう考えても、言い訳の言葉が浮かばない。

マモルは意を決し、素直に謝ろうとオヤッサンの方を見つめた。


「すまん!マモル!!」


謝ったのはオヤッサンの方だった。

マモルは一瞬、何が起きたのか分からなかった。


「すまん!マモル!!」


また謝った。


「頭を上げて下さい、オヤッサン。一体、どうしたって言うんですか?」
マモルは心が整理できないまま、そう言った。

「ワシはお前さんを…いや、あの風呂屋を見捨ててしまったんじゃ!欲に目がくらんでしまったんじゃー!」
オヤッサンの目からは、大粒の涙が溢れていた。

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