ノンフィクションの愛の結末?

 2006-07-18投稿
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時は遡ること199X年…


心が小学校2年生の時の話しだ。

心は父の勤めている会社の社宅に家族4人で住んでいた。父と母と私と5才離れた妹。

それは突然だった。幸せだったはずの家庭が崩壊した。そう、離婚だ。

心はこれが原因で記憶喪失になった。離婚より前の思い出が分からなかった。分かることは身の回りの人の存在と生活の知恵と勉強の内容。それだけ。だから、生活に支障はなかった。心は幼心に親に心配をかけたくないと思い、記憶喪失のことは隠し続けて今日に至る。

心が地力で思い出を辿って、思い出すことの出来る最後の思い出は、


ドアの前に妹の手を引いて立っていた時のこと。


それも、支点は心の目からではない。心たちの後ろから第三者として見ているのだ。まるで幽体離脱。

無音だ。この白い引き戸の奥に父と母がいる。中では何か話しているのであろうが私には聞こえなかった。音のない世界。

そして、母が部屋から出てきた。母は泣いていた。初めて見る母の涙。心には何で泣いているか分からなかったが、直感が働いた。分かりたくはなかった。しかし、分かってしまった。心は第六感が人より冴えてるからだ。そのあと、母に続いて父が出てきた。私は本能のままに叫んだ。それが、私の記憶で始めに聞こえた音。私の怒鳴り声だ。


『お母さんを泣かすな!!!出ていけ!!!!!』


父は何も言わなかった。妹も何も言わなかった。これだけの声で私が怒鳴ったのは初めてなのだから泣いてもおかしくないはずなのに、妹は泣かなかった。怒鳴った拍子に力の入った私の右手を、ただ、握り返しただけだった。そして、母は何か喋ったが、心には分からなかった。心の記憶はここでまた無音になるのだった。


続く…

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