〜(回想)〜
由美「勇一…」
勇一「ん?」
由美「勇一は、私と付き合う前に、何人彼女がいた?」
勇一「なんだよ急に…」
由美「ん?ちょっと恋愛経験聞いてみたくてね」
勇一「興味あるの?…まあ高校時代ににね。同じバスケ部の子でね。卒業と同時にね。…疎遠になっちゃたよ。ま、2年前だけど…由美はどうなの?」
由美「私は、高校時代に部活の先輩と付き合ってた。でも、二股かけられちゃって(笑)」
勇一「ひどい先輩だなあ。…でも好きだったんだ」
由美「うん…でも『別れてくれ』って言われて、その日は泣きはらしたよ」
勇一は、そんな由美が、なぜ自分と付き合ってくれているのか聞きたかった。
それは、由美も同じだった。
由美「ねえ、なんで私と付き合う気になったの?」
勇一「ん〜誰に対しても優しいとこかな?由美は?」
由美「私が、将棋が趣味だっていったら、みんな笑ったのに、勇一はいきなり勝負挑んできたからかな〜」
勇一「そんな理由?まあ…2人ともテレビゲーム苦手だったからな〜そんな時代遅れなとこも、気があったからかな」
由美「うん。勇一弱いんだもん。それでも勝負を挑んでくるのが、可愛いかったからかな〜」
勇一「まっ、不本意だけど、ありがとね」
由美「うん。ねえ勇一、もし、もしもだよ…」
勇一「何?あらたまって」
由美「勇一が不治の病になってしまったら、どうする?」
勇一「なんだよ!急に…縁起でもないなあ」
由美「ごめんね。そうだよね。」
勇一「まあ…そうとわかったら、由美に、別れてくれって言うよ。あっ!前の彼氏と違うよ!早く俺のこと忘れて、幸せになってくれって意味だよ」
それを聞いて、由美は少し泣きそうになっていた。
由美「ありがとね。勇一。優しいなあ〜」
勇一「なんだよ。今さら。泣くなってば」
勇一の励ます姿に由美は本当に感謝していた。
由美が、勇一の前から姿を消したのは、それから間もなくだった。
…今思えば、由美は自分の病気を隠すために、あんな質問をしていたのだと、勇一は気づかされた。
勇一の言ったことは、そのまま由美の願いだったのだ…。
それなのに…俺は恋愛に心を閉ざしてた…
だからこそ、嶋野達との出会いは、勇一の心を大きく開いていた。