次に思い浮かぶ記憶は引っ越しの準備をしている時のこと。
『出ていけ!!!!!』
と罵声を飛ばした心だが、あの家は社宅。離婚してもいられるわけもなく、実家に出戻ることになった。
そして、この記憶も無音だ。思い浮かぶ映像はリビングに寝っ転がった父の姿。憎かった。情けなかった。許せなかった。
あとから聞いて分かった話しだが、離婚の原因は父と母の性格の不一致と父の家庭内暴力。
でも、心には実感がなく分からなかった。記憶がないから。知りたくもなかったのに、デリカシーのない知り合いから偶然聞かされた話しだから。
そして、このことが心の第一のトラウマになった。
続く…