ガラガラガラガラガラ…
キャリーカーの音が、今は心地良かった。
心臓の音をかき消してくれる。
ちさの表情が気になるけど、恥ずかしくて、ちさの顔が見れない。
手から伝わる温もりだけを感じながら、ちさの家に1歩1歩近付いていく。
着かないでくれ
そんな願い虚しく、ちさの家に着いてしまった。
「…………」
「…………」
放さなきゃ…
でも、もう少しこのままでいたい。
はっ!
俺、めっちゃ欲張ってねぇ?
ちさ、困ってるんじゃ…
僕はそっとちさの手を放し
「えっと…じゃあ…」
と言いかけたその時。
「あの。……この先に、小っちゃい公園があるんだけど……行ってみない?」
ちさの方から言われた。