サルの巣「出会うまで」

サル  2009-06-22投稿
閲覧数[123] 良い投票[0] 悪い投票[0]

大学を卒業し、その会社に入社したばかりの私は、誰より先に電話をとる事に集中していた。
世間を知らず、自分を知らず、半端なプライドと理想を持って社会人になったから、今となっては向いてないとわかる仕事でも、自分はやればできると信じて疑わなかった。やる気にみちあふれていた。

電話が鳴り、ワンコールで受話器をとる。

受話器の向こうから聞こえる、低いハスキーな声。
…私好み。
会社名を名乗らない。
自分の名を告げてきた。

…社内の人だ。
誰だっけ。

支社名や所属を言わず、名前だけ…偉いんだ。

新入社員で、かなり期待してるって所長から聞いてるよ…だって。私を知ってた。


何分話したろう。とにかく私を褒めてる。女心わかってるな、この人。会話がはずむ。すごく楽しい。

電話の相手の名を告げ、やっと所長に電話を取り次ぐ。
それ、部長だよ、と隣の先輩。

部長か…なんだか調子がよくて、軽そうな人。でも悪い気はしなかった。
どんな人だろう。いくつくらいの人かなぁ。
部長か…おじさんかな。

でも、私、ああいう人好きだな。

昔から、先生や先輩からはよく可愛がられたほうだった。末っ子の性質かどうか知らないけど。
友達が、あいつむかつく、と担任の悪口を言っていても、私は大人が嫌いじゃなかった。

会いたいな。




投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 サル 」さんの小説

もっと見る

恋愛の新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ