誕生日の翌日からきむは優しくなった。
私を試す事をあまりしなくなったね。
私はそれだけで嬉しかった。信じてもらえたんだと思ったよ。
幸せな日が続いていた。
数日後、きむが有休をとった。
『たまには家族サービスしないとお前にも会えなくなっちゃうからな』
と言って笑った。
淋しくないわけじゃないけど私は
「そうだね」
と言った。
この時はまだ事件が起きると思ってなかったんだ…
きむが有休を終えた翌日、いつものようにきむに会った。
廊下ですれ違っても、私と全く目を合わせてくれなかった。
挨拶しても無表情なまま…
次の日も、また次の日もきむが私を見てくれる事はなかった…
一度奥さんにバレた時、絶対に私からメールや電話をしないと決めていた。
自分から連絡を取ることは許されなかった。
だからきむに何かがあったと思ってもなかなか知ることができなかった。
ずっと仕事中も気になっていた。仕事が手につかなかった。
翌日私はきむに書類を届けるついでに書類の中にメモを残して渡した。
〈今夜、8時に公園に来てください。〉
約束の時間より2時間遅れてきむがやってきて私が座っているベンチにそっと座った。
きむはそれでも私を見ようとしなかった。
隣に座るきむの体は微かに震えていた。
そして私はゆっくり話始めた。