亜子は毎日何かしら重苦しい気持ちから解放されず悩んでいた。
自分に嘘をついてまで美佐の事を愛していたのか…、淳によると、美佐が何をしでかすか不安があったから、亜子を守る為だったと言うが、一体淳の本当の気持ちがどこにあるのか、苦しんだ。
美佐から送られてくる淳名義の通帳はすべて0円になって戻ってきた。淳はため息をついた。何百何十何円までも引き出す神経にうんざりした。別れて正解だと心底安堵感を覚えていた。
通帳をよく見ると持っていないはずのカードの引き落としが6種類もあり、驚いた。淳はカードを持つタイプではなく、小遣いもままならない程しかなかった。
少女マンガ用の雑誌の定期購入…それにもうんざりした。
自分に黙ってカードを作り、ブランド品を内緒で購入し、子供にも何か買い与え、それを自分に見せる訳でも、買ったとも言わせずに一体何を教えていたのか…
淳は急に十年間の生活の虚しさを全身で感じていた。またその虚しさを亜子に話すでもなく、その虚しさから逃げ、亜子が感じていた、淳と美佐の何もない関係を否定したのだった…