私はきむに何ができる？ そう考えていた…
それでもまだ揺るがないよって気持ちを伝えなければきむが壊れてしまう気がした。
マイちゃんに、そして奥さんにも裏切られたきむに何を言ってあげるのがいいんだろう…
「きむ、私は大丈夫だから。心配しないで。」
選んで出た言葉はそれだった。
その時きむは怖い顔をして私に言った。
『前から思ってたけど…その心配してほしくてたまりませんみたいな言い方なんなの？大丈夫とか心配しないでとか…俺はお前のことなんて心配してない。一度も心配したことなんてない。』
何があってもどこにも行かないよって意味だった…
ずっと好きだよって意味だった…
いつかね、きむが違う誰かに
『１人だけ裏切らなかった女がいたよ』
って言ってほしかったよ。
だから大丈夫って、心配しないでって言ったつもりだった。
なのに全然伝わってなかった。
私はきむを思う自分に酔いしれてただけなのかもしれない…
そう思ったらなぜか笑えた。
私の目をみつめたままきむがそう言ったからそれがきむの本心だと充分な程伝わった。
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