目覚めたら留置場だった。
博之は眠たい目を擦りながら昨晩起きた、あの忌ま忌ましい出来事を思い返した。
何故オレがこんな目に・・・
コトの発端は昨夜仕事帰りに立ち寄ったスーパーだ。ドラマはそこから始まる。
カップラーメンを二個だけ買うつもりが、果物コーナーの桃に指でつっつき穴を開けると云う
戦後最大の犯罪をやらかした瞬間、店員と目があった。
『お客さん何してるんですか?あんたシャレじゃ済まないですよ!』
『いや指で軽く突っついただけじゃんか!ちゃんと買い取るよ』
『当たり前でしょ!全くいい歳して恥ずかしい。出禁ですよマジで』
ここまで言われちゃさすがの博之も頭にきた!
『チンピラ、死体としたいなら表とストリップに出ろ。二年間は物が噛めない顎にしてやる〜!』
すると店員
『あ〜そうですか、なら警察を呼びますね。店長〜』
ごちそうさま。それだけは寒い・・・
『わかったよセバスチャン、ここには二度と来ないし桃も買い取るから許してよ。ねっ?』
それだけ言うと博之は
立ち去るそぶりを見せ
わざとらしくと店員の足を踏んだ
グリーンガムの付いた靴で。
スーパーを出ても何だか気分が晴れないのでTSUTAYAに立ち寄った。
探すのがダルいので店員に聞いた
『すいません、ロッキーファイナルはどこですか?』
店員
『は?やだなお客さん、ロッキーにファイナルなんてないでしょうwそれにスタローンも歳だし、夢でも見てるんですか?』
殺したい・・・
『いやロッキーファイナルだぜ?最終章の。なんで店員なのに知らないんだ?お前辞めちまえよ』
らちがあかないので、一度見た事のあるバックトゥザフューチャーに決めた。
無難なところだ。暇潰しにはなる。
レジに持って行きカードを渡すと、店員が仏頂面で言った。
『すいませんお客様、3年前からDVD計27本が未だに返却されてませんが』
過呼吸になった・・・
博之は怒りを越え、地球を破壊したい衝動を抑えながら、店員と太陽に吠えた。
『狼は生きろ豚は死ね』と。
続く