キャッチボール 第6話

るー6  2009-06-23投稿
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僕は、薄暗い階段を、歩いていく。その先に、龍吾が待っていると信じて…。
結局…ダメだったよ。僕はただ…友情を深めたかっただけなのに…。

パシッ。
「おっ!みーくん、ナイスキャッチ!」
「は、はぁ…。」
自分が、まさかこんなにすぐにボールをとれるとは…。
「よっしゃ!どこでもいい!投げてこい!」
放ったボールは、まっすぐ飛んでいった。
「すげぇじゃねえか!」キャッチして、まじまじと僕は見つめた。
「楽しいだろ?」
「キャッチボール…。」僕は、笑顔で言った。
「うん、楽しい。」
昼までキャッチボールは続いた。
「疲れた…。」
「オレも…しんどい。」僕は、携帯を取り出して急に話しかけた。
「メアドと番号、教えて。」
「おぅ!いいよ。」
「…つらいとき、励ましてくれたから。」
「そんなの当たり前のことだろ!」
笑顔で言ってくれた。
「僕も、龍吾がつらいとき、励ましてあげようと思って。」
「オレの…ことを?」
「もちろん。」
龍吾の目が、僕には、少し潤んでいるように見えた。よほど嬉しかったのだろう。
「ありがとな。」
「もうヤメにしよう。」僕の言葉で、キャッチボールをやめることにした。
「じゃあね。」
僕が帰ろうとしたその時、
「オレんち来いよ。」
「えっ。」
急に言われ、とても驚いた。でも、そこに行って、僕の気持ちがどんどん穏やかになっていったのは事実だった。



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