少しの手荷物だけ持って、私は部屋を後にする…
元カレとの思い出の部屋だったのに、出ていく今は木村さんとの思い出の部屋になっていた。
玄関に立った時思い出したのは木村さんと過ごした日々だった。
私は
「ありがとう。さようなら」
と言って部屋を出た。
‘帰る前にあの公園に寄って行こう。好きだと言われた公園に…
初めて手を繋いだ公園に…’
私は公園に行った。
その時公園から見える海がこの世のものと思えない程グレーの暗い海だった。 2人で来た時はキラキラした青い海に見えたのに…
本当の海はこんな色をしてたんだね。
木村さんとの恋と同じ… 現実を見ようとしなかった私に見えていた幻想…
偽物だらけの世界…
愛されていたと思い込んで幸せだと思い込んで…
私は本当の世界に戻ってきたんだ。
私は公園を後にした。
もう二度と来ない思い出の場所。
それでも絶対忘れられない大事な場所。
全く愛されてなかったのに未練がましい私…
そして車を走らせ私は静岡に帰った。