月曜日がきた。
あれ以来、私と先生は会話すらしていない。
図書室の掃除当番は私たちの次の班へと回り、私の生活は今までどおりとなってしまっていた。
しかし、変わったといえば先生の態度なのかもしれない。
体育の授業のとき、少し目があったりすればいつもなら笑いかけてくれるのに今では目をそらされているような気がしていた。
これが普通なんだ。
どうせ特に取り得のない、キラリと光るものなんかこれっぽっちも持っていない私には誰も興味を示さない。
それくらい、わかっていたのに。
「尚子、どうしたんだ?」
久しぶりに暇ができたということで、放課後は淳といることにした。
「え、どうもしないよ?どうして?」
「なんか、すごく疲れているみたいだよ。大丈夫?」
たしかに、私は疲れていた。
今は二月に入る直前、私たち生徒は学期末のテスト勉強に明け暮れている所だった。
「うん、最近寝てないからね。テスト勉強があるし。」
「無理しちゃだめだぞ?」
「そういう淳こそ、受験なんだから頑張らないと!」
「そうだね。」
その時私は、半分嘘をついた。
「寝ていない」ではなく「眠れない」。
どうしてだろう。
今まではたくさん我慢できたはずだというのに。
まとわりついてくる中学の頃の雑音。『やめちゃえば───?』
ねぇ、どうしてなの?
『だってさ、あんたがいない方がウチら楽だし』
あれから2年も経ったのに、まとわりついて離れない。
『自分で優等生だと思ってんでしょ?』
私は強くなったはずなのに。
『ねぇ、今度は何が欲しいの?』
強いのに。
『ウチらを利用してまで、さ(笑)』
今日は一段と寒くて、私の手は赤くて冷たかった。
そこだけ血が通ってないみたいで、かじかんでいた。
でも、今私が最欲しているのは血液とかそういうものじゃなくって、
全て打ち砕く事の出来る強さだった。