教室の前までくると、佳奈と瑠奈と久美がなにやら廊下で話しこんでいた。
「えーっ、美優これからどうなっちゃうのー?」
瑠奈が心配のあまり、声を荒げた。
「なんか、定時制の高校へ行って働きたいみたい」
佳奈が目に涙を溜めていた。
たまたま、拓人が通りかかった時、その会話と光景を目にし、美優、定時制、という言葉に何の事だか、慌てて佳奈達に近付いていって、問いただした。
「坂田がどうかしたの?!」
「あ、拓人君、美優のお父さんが交通事故で亡くなって…。母親も出てってしまって、妹さんもまだ小学生だから、働きながら高校通って面倒みようか…って考えてるみたい」
「えっ、坂田のお父さんが…」
驚きのあまり、拓人は頭の中が一瞬パニックになった。
拓人は教室に入らず、踵を返し、戻って行った。
「あ、拓人君、何処行くの?」
佳奈の問いには応えず、足早に去って行った…。