いつからだろう『ここにいるのは』
ここで、ぼくはいつも踊っていた。誰もいない『いぬの踊り場』で。
僕は、今年で19才になった。
ひと夏、そう思ってここにいた。
でも、気が付けば、
ひと夏もふた夏も越えて三年がたっていた。
ひと夏越えるときに、ここに『かい』がきた
『はじめまして』
そんな、どーでも、いい会話をした。
なにも、返事するわけないのに。
冗談で言ってみた。
『これ、食べるかい?』
持っていた、溶けかけた板チョコをちょこっと、あげた
すると
『パク、パク』
むしゃぶりつくように、僕の右手まで、なめまわして食べた。
おもしろくなって、また
『食べるかい?』
と言うと
うれしそうに、また食べだした。
僕はうれしくなって、持っていた板チョコを全部あげた。
『ほんとにお前はおいしそうに食べるな』
っと言うと、うれしそうに、耳を右足の後ろで掻きだした。
『もう…チョコないからかえりな』
ほんとはひとりになるのが、寂しいのに、逆のことを言ってしまう。
『クゥ〜ンッ』
また、耳を右足の後ろで掻きだした。
『チョコ…ないょ?』
しばらくして、名前を決めた。
『カイ』っと名付けた。
うれしいとき、悲しいときに、耳を右足の後ろで掻くから。
『カイ』…君はいなくならないでね。