―第3話―\r
ときめき ?
教室へ戻った俊章は、雪子の周りを見た。
雪子と親しげに話をしている「山中早織」「矢野貴子」は、いつもと全く変わらない様子で、俊章を意識している様な素振りは、全然見えない。
俊章は、午後の2時間の授業が終わると、帰る支度を始めた。
すると、工藤が俊章のそばへやって来て、俊章の肩を叩いた。
「あぁ、伸也。今日は勘弁してくれ!そのうち話すから」
「おぉ、わかった。あいつらは、任せておけ!」
俊章と工藤伸也は、親友同士である。多くを語らなくても、通じる事がある。
工藤は他の友達に、『あまりしつこく聞くな!』とクギを差した。
俊章は、自宅へ着くと、ドキドキしながら封筒の口を開けた。
「こんにちは内田君。こんな形でお手紙を渡し、ご免なさい。私は小学校の頃から、内田君を見てて、素敵だなあ、と思っていました。出来れば、お付き合いをして欲しいんですが、今はまだ、恥ずかしくて名乗れません。これから何度か、雪子を通じて、お手紙を差し上げますので、私の思いを、受け止めて下さい。」