俺にとっての未来…それは、あの人を守るため…それに伴う痛み、苦しみは平気なんだ。
でも、あの人が悲しむ姿は見たくない…あの時、本当にそう思ったんだ。
ガバッと布団をひっぺがえされて、俺は目覚めた。
目の前には、見慣れた、あいつの顔が見えた。
「もう。何時だと思ってるの？早くしないと電車がなくなっちゃうわよ。」
午後11時、家を出たら丁度、終電が無くなる時間だ。俺は寝ぼけた頭を振り答えた。
「うーん、分かってる、悪いな。毎回こんな夜遅くに起こさせて…」
あいつは仕方が無さそうに、頭を掻いて答えた。
「はいはい、いつものことなんだから、気にしなくてもいいの。それより、さっさと準備をしたほうがいいんじゃないの？」
「それもそうだな。」俺は答えるとクローゼットに手をかけた。
中のレザーベストを取り出し羽織る。そして、下の方に隠してある、木刀と拳銃を取り出した。
「しっかし、相変わらず物騒な物を持ち歩いているわね。そんなもの持って一体どこに行くのよ？」あいつは、そう訪ねるが俺は黙ったまま何も答えない。
「あー、はいはい。企業秘密なんでしょ？分かってるわそんなに詮索しないから。」
俺は黙ったまま頷き自分の部屋の玄関の扉を開けた。っとその時あいつは、俺に尋ねた。
「ねぇ、今日はいつ帰ってこれるの？」俺はあいつに背を向けたまま、できるだけカッコをつけてこう答えた。
「朝日が昇ったときには全てが終わっているよ。それが終わったら帰れる」
そう言って、俺は玄関をでた。
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