パンパン、と手をはたき
手についた土を払い落とすと
「ありがとう」
そう言って、オレの手を握り、立ち上がった
立ち上がった後もしばらく手を握ったままの二人
その光景に、なんだか急に恥ずかしくなったオレは
不意に手を離した
恥ずかしさと照れ臭さで
自分の顔が熱くなっているのがよくわかった
オレは、きっと真っ赤になっているであろう顔を気付かれる事はないこの暗闇に助かったー
そんなふうに考えながら
まだ心臓のドキドキはおさまらなかった
そんなドキドキを紛らわすかのように
「おまえさぁ
小学生みたいな技よくだすよな、オレ、妹ですらあんな勢いよく転んだとこ見た事ねェよ
ある意味すげェよな」
晶の事をからかうかのように言った
「見事だったでしょ
今度、伝授してあげるよ」
晶は、そんなジョーダンを返してきたかと思うと
急に真顔になり
「それより早く行かないと!
こんな暗い中で彷徨ってるかもしれないヒーちゃんも一人ぼっちだし、こんな暗い中で置いてかれちゃったニチ君も一人ぼっちだよ」
そう言うと、また懲りずに暗い道を走りだした
あいつは、その事が心配で
こんな暗い道を
転ぶ事も気にせず
あんなにおもいっきり走ったのか
そんなにもヒーとニチが心配でたまらないのか・・
そんなふうに考えると、オレは
もしかして晶も、そんな淋しさを抱えて生きてきているのかな
と、八重歯が無邪気な笑顔の
その奥にある
淋しげな
どこか陰のある
オレが晶に対して感じた
晶の第一印象に
オレがそう抱いた気持ちを思い出した・・