「おーい!ったく、あいつらどこ行ってんだよ!迷子になんじゃねぇよ!」
ウェドは迷子になっていた。腰の高さ程もある茂みの中、ひとりさ迷っていた。
「海なんて見えて来ねぇじゃねぇか!・・・んっ?」
ウェドは静かに耳を澄ました。
(離して!離してよ)
意味の分からない言葉が聞こえてきた。
急いで声の方へ駆けて行くと、そこに、海賊に捕らえられている女性がいた。その奥には男性もいた。
「そんな大勢で女を捕まえて楽しいのか?」
ウェドは突然海賊のひとりをハンマーで凪ぎ払った
海賊は情けなく砂浜に伸びてしまった。
「あと・・・六人か」
「へへへ、おもしれぇ。そいつをぶっ殺せ!」
海賊たちは掛け声と共に一斉に頭の上に斧を持ち上げると、ウェドに襲いかかった。
「親父に死ぬほど鍛えさせられたんだ。六対一で負けるようじゃ・・・親父の恥だぜ」
ウェドは先頭の海賊を左に身を縮めながらよけ、脇腹に一発、そのままの勢いで、かかってきた二人目の腹にハンマーの柄で叩きつけた。
三人目も二人目を柄で殴った後で、ハンマーの流れを利用し、左腕を叩きつけた。
ウェドは身を縮めた状態で、ハンマーを左に大きく振り、気がつくともう目の前に四人目が来ていた。
ハンマーを右へ振るには遅すぎた。
「残念だったな!」
ウェドはハンマーから手を離すと、身を縮めた状態から四人目の顎に強烈なパンチを食らわせた。
間髪入れず五人目の斧が振り下ろされた。
すかさずウェドは再び身を縮めると、海賊の足を自分の足で蹴り飛ばし、こけさせると、すかさず、砂浜に横たわった海賊の脇腹に蹴りを入れた。
六人目に対処しようとした時、そこにはだれもいなかった。
「俺の勝ちだ!」
見ると、女性の首に斧を当て、その後ろに隠れる海賊がいた。
「余程卑怯なことが好きなんだな」
横たわった五人の海賊の中に立ちながら、皮肉をたっぷり込め、言い放った。
「そこらへんにある斧で死ね」
ウェドは斧をゆっくり拾った。
「よし、いいぞ」
「本当にいいのか?」
ウェドは斧を海賊へ向けて投げた。
「なにっ!」
海賊は後ろを向いたが、斧は全く検討違いの方へ飛んで行った。
「何やって・・・」
既に目の前にはウェドがいた。
「悪いな。俺はそんなに器用じゃねぇんだ」
最後の海賊の顔面に強烈な一撃を食らわせた。