キャッチボール 第9話

るー6  2009-06-28投稿
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「じゃ、またいつ会えるか分からないけど。」
僕は、寂しい心を抑えて龍吾にそう告げた。
「じゃあな。」
「また、キャッチボールしようね。」
「そうだな、しような。」
そして別れた。
どんどん小さくなる友達の姿は、やがて暗闇に消えていった。
その時だった。自転車が倒れる音が聞こえたのは。
気づいたら龍吾は走っていた。

4月10日、夜10時。「おい、金出せ。」
「……。」
僕は、角を曲がろうとした。そしたら…3人組の男にぶつかってしまった。
だから、ぶつかったお詫びとして、金を出せと脅されていた。
「おい、こいつ金持ってないんだって。どうする?」
1人の男が他の2人に問う。
「ボッコボコにしようぜ。金持ってねぇならよ。」
3人組の男のうち、2人が僕の両脇を掴む。
「やめて下さい!」
その願いも虚しく、
「おりゃあ!」
「やめて…。」
両脇を抱えている2人の笑い声が聞こえる。
だんだん目の前が暗くなっていく。
「やめて…」
声にも力がない。
その時、
「やめろっつってんだろ。」
「あん?」
絶望に、光が射した瞬間だった。
「……龍吾」
こっちを見た龍吾は、力強く頷いた。
「そいつを返せ。」
そして僕の手を掴むと、1人の男が、
「ボコれ。」
龍吾は戦闘モードに入る。
相手は龍吾に殴りかかってきた。
「くっそ!」
龍吾は素早くかわして、両脇を掴んでいる2人の男に蹴りを入れた。
「早く逃げよう。」
これで、事件は解決したかに見えた。



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