晴れ渡った空の下、こんなに穏やかな平和な所で戦があるなどと思えないような日和の中、騎馬に跨った重装備の者達が別れ道で立ち止まっていた。
「ではな」
リュウは手を挙げてもう一つの隊を指揮する副官に声を掛けた。
「隊長、お気をつけてください。あなたが向かう方がかなり危険だと伺いました」
「心配してくれてる?」
「あ、当たり前です!」
副官は照れながら答えた。
「大丈夫だよ。心配するな。青き国も変わらず危険な場所には違いない。気を緩めず全うしてくれよ」
リュウは副官の肩に手を置いて言った。
「わかっております」
副官は頭を下げると青き国に向けて隊を進めた。
「良いのですか?」
リュウの隊の一人が聞いた。
「良いんだよ。怒らせてたほうがあいつらしいだろ?」
リュウは紅い国へ馬を向けながら答えた。
隊の誰もが頷きそうになって止めた。
「お前ら、正直すぎ!」
リュウは笑いながら言った。
「どうか、お気をつけてください。内部から崩壊するかもしれないのですから」
副官であるサイナスは呟くように空を見上げて今はもう見えないであろう隊長のリュウに向けて言ったのだった。