猫物語その27〜ほっとけないのは性分です〜

α  2009-06-29投稿
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 猫丸は子猫が嫌いでは ありません。
 むしろ ひたむきさに好感が持てます。

 猫八あたりは考え無しなところが苛立たしく思うんだろうがなぁ...。

 けれど何も行動しないまま現状を悲観するよりも遥かに建設的で健康的だと猫丸は思います。精神の健全さを保全するには継続的な情緒と思考の統合が必要です。
 行動するうちに全体像を把握してゆくこともできるでしょう。
 しかし、それにしても この子猫の頭には猫耳...ではなく竹内さんと鼠の集まる笛の事しかないようです。

 まったく...
 俺が猫八の気を反らして やらなかったら今頃どうなっていたか...。

 猫八は子供と いえども容赦するタマ?ではありません。
 生易しいことをしていては いらぬトラ?ブルを招くだけです。

 お願いにゃ!猫丸さん、そのシチリキを使わせてほしいのにゃっ

 子猫は床にニクキユを着いて頼み込みます。

 シチリキじゃない!篳篥(ヒチリキ)だ!しかも この笛は龍笛!もう忘れたのか?

 子猫は怒られて息を呑むと かろうじて コメンニャサイ...。と、言いました。
 いくら笛に関して解ってる様で全く分かってない間違いをされたとはいえ、らしくもなく怒鳴ってしまったことを 猫丸は後悔しました。

 いや、俺も言い過ぎた。すまん。
 この笛も使わせてやっても構わないんだが...。

 !本当にゃっ?
 どうすれば良いのにゃ!?言うてけれ、なんでも するにゃ!

 ほほぅ、

 脈絡なく猫丸の心の中で意地悪虫が触角を うごめかしました。意地悪とは、そういうものです。

 なら、マグロでも捕って来て貰おうかなぁ、市場価格300万は下らない生きの良いのを(−_−メ)

 にゃー?

 青冷めた子猫の様子が可愛らしく面白いので猫丸に巣くう意地悪虫は耐え切れずニヤリ笑いが崩れて吹き出してしまいます。

 ひ、ひどいにゃっ。今ものすごく本気に したにゃ!

 プリプリ怒る子猫に猫丸は もっともらしく こう言うのでした。

 何を怒っているんだ、子供め。
 冗談で済んで ありがたく思え。
 あまり軽々しく「何でもする」なんて言うんじゃない。

 ...は、はい?

 子猫の頑是ない瞳の奥のタペータムが輝きを放ちます。

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