美優は俯いてぼんやりしていた。目と鼻が赤かった。
拓人は公園内に入って行った。
「坂田!」
声をかけると美優が拓人の方を見た。
「拓人君!」
美優は座っていたブランコから思わず立ち上がった。
拓人が近付いてきて、二人のシルエットが夕日に浮かび上がった。
「なにかあったの?どうしたの?びっくりした」
美優が思わず微笑みながら呟いた。
(何かあったのはおまえだろ)
拓人は堪らなくなり、美優を力強く抱きしめていた。
「た、拓人君…」
突然の事に美優は驚きながら名前を呼んだ。