「父さん!」
・・・だめだ。何回よんでも気づいてもらえない。
まるで聞こえないふり。
あんなに俺に話すのが好きだったくせに。
俺が逃げても逃げても話しかけてきたくせに。
なんだよ。
俺のしたこと、そんなに気に入らないのかよ。
俺以外のやつの話は真剣に聞いてやってたのに。
誰になんていわれようとも聞いてやってたのに。
恨みをかったやつ。
事故に巻き込まれたやつ。
どんなやつの話も真剣に聞いてたのにさ。
俺の話は聞いてくれないのかよ。
俺はただ小さな女の子をかばっただけなのに。
それのどこが気に入らないんだよ。
いいことだろ?人の命を助けたんだぞ?
そりゃ・・・ちょっと失敗したとは思ってるよ。
だけど、俺の話だけなんで聞いてくれないんだよ。
話を聞いて癒してやるのが仕事のセラピストだろ?
いろんなやつ癒してやって感謝されてたじゃないか。
それなのに俺の話は聞いてくれないのか。
まさか・・・ホントは聞こえないのか?
・・・幽霊が見えるって散々俺に自慢してたくせに。