ハーフムーン (49)

 2009-07-02投稿
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現れたのは、スナック『メラミン』のマスターだった。ミユキが彷徨うきっかけとなった、あの日の夜に出会った男だ。

「やぁミユキさん。お久し振りだね」
男は言った。

「知ってるのか?この男」
マモルが、ミユキに聞いた。

「ウン。スナック『メラミン』のマスターなんだ」

「何だ??その…メラ何とかって?」
マモルは不思議がる。

「オイオイ、君達。今はもう、その店やってないんだ」
男はそう言うと、小屋の脇に、くくりつけられているノボリを指差した。

カフェ『パンデミック』と書いてある。

「何て危険な名前だ…」
マモルは思わずつぶやいた。

「今日から、ここでカフェを始めたんだ。スナック『メラミン』は、先日でおしまい。君達、美味しいコーヒーでもどうだい?」

二人がうなずくと、男はテーブルにアイスコーヒーを差し出した。


気が付くと、波の音に紛れてラジカセからCDの音楽が聞こえてきた。

「あ。ジャニスだ」
ミユキが曲に反応した。

「何?その、ジャニースって?」
マモルが答える。

「ジャニースじゃ無くて、ジャ、ニ、ス。ジャニス・ジョプリンのことよ」

「へぇ…」

「ショウが大好きだったの」
ミユキは、とても嬉しそうに言った。



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