病室を出ると玄関でカズマが待っていた。
『ちゃんと話せた?』
「うん…奥さんがきむを愛してるのが伝わってなんか辛かったよ(笑)あの病室は奥さんの愛で溢れてて…私が入る場所じゃなかった(笑)カズマ、ありがとね」
カズマは何も言わずに、私を駅まで送ってくれた。
私は1人電車に揺られて、必死にきむを諦める決心をしようとしていた。
実家に戻ると、ビックリする程冷静な自分がいた。
好きでいるだけでいいと思っていた…
でもいつかきっときむが私のところに来てくれると思っていた…
マイちゃんと闘っていた…
マイちゃんよりも想われたかった。
けどこの時私は、マイちゃんより奥さんが凄いんだと知った。
諦めるしかなかった…
私はきむを救えない…
さよならきむ。
ありがとうきむ。
私の人生にきむがいた事、凄く感謝してるよ。
世界中が敵でもいいと思った。
それでもあなたを愛していたかった。
でもそれがいつしか愛されたいと思うようになって…
それが間違いだったんだ。
わかってたはずなのに…
愛されたいけど愛したくないというあなたの気持ちを…
私はそれからきむに会いに行かなかった。
次第に私は眠れなくなり、外に出ることも人と接することもできなくなった。
そしてまた私達に皮肉な運命が訪れようとしていた。