人間万事塞翁が馬、人生何が起こるか分からない。 ここでチョット私の昔話に付き合ってもらいたい。小さい頃の話だ、私はあの感覚、直感で見える光によっていろんなモノを拾ってきた。小物やガラクタ、犬、猫はもちろん、時には迷子の子どもを連れ帰った事もあった。これで済めばただの困った拾い癖で済むだろう。だが、それで済むわけが当然なかった。私の拾ってくるモノはどれも壮絶的で運命を覆す様なモノばかりだった。あるモノは、殺人事件の証拠品。あるモノは、盗難された芸術品。あるモノは、大富豪が捜していたペット。あるモノは、神隠しにあったと思われた行方不明の子ども。どれも私には光って見えた………そして今も………。 [女]「間違い無い!あの光!!」 光を目指し走る。光に目掛け走る。光を目印に走る。走る。走る。走る……行き着いたのは珍妙なガラクタ置き場だった。息も置かずガラクタを掻き分ける。あった!…それはアタッシュケースだった。私は光るアタッシュケースを手に取り、来た道を戻る。 炎は別の部分にも燃え広がっていたが爆発はしていないようだった。急いで車の中を確認する、女の子の泣き声が聞こえない。女の子は父親であろう男性にもたれかかって突っ伏していた。 [女]「!?いけない!!脱水症状をおこしてる!」 このままでは車が爆発するより先に女の子が危ないだろう。なりふり構わずアタッシュケースを窓にぶつける。ぶつけるぐらいならまだ他のガラクタの方が良かっただろう。防弾ガラスはビクともしない、何度もぶつけるがヒビが入る素振りすらしない。あの光は見間違えていたのだろうか?焦りがつのる……、爆発がまた聞こえてきた。どうやら少し近い所で爆発したらしい、新しい赤雲の煙が大きく見えた。次はここの番かな…、と弱気になりかけた気持ちを振り払うためにアタッシュケースを持ち直してぶつけようとした時、異変に気付いた。 [女]「!?これは!!」 アタッシュケースをぶつけてできた割れ目からだろうか、アタッシュケースの光よりも、今までで見てきた光よりも、異質な光を見た。 光の中に在りながらなお主張する異質な光。 影を生むはずの光がさらなる光を生む異質な光。 光が光を喰らう、呑み込む異質な光。 私は…今…《自分の》壮絶的で運命を覆すモノを拾ってしまった。
……続きます