ハーフムーン (50)

 2009-07-03投稿
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ミユキは、しばし話すのを忘れ、音楽に聞き入った。そして、マモルに向かってこう説明した。

「この曲はね、『ハーフムーン』ってタイトルなの。1曲目に入ってて…しかもライブ音源だから…このCDはおそらく2枚組のライブアルバム『ジョプリン・イン・コンサート』の2枚目に違いないわ」

「お前、詳しいんだな」
マモルは感心するように言った。

「ウン…ショウに色々教えてもらって、詳しくなっちゃった。それに、このアルバム…ショウが大好きだったから」
ミユキは、はにかむように、うつ向き加減で答えた。

「まったく…女って生き物は、男によって好きな音楽とか、好きな服装がコロコロ変わっちゃったりするんだよなぁ」
マモルはアイスコーヒーを飲みながら、苦笑いを浮かべた。


――突然、ミユキが何かを思い出した。そして独り言のようにつぶやく。
「このCD…そう言えばショウから借りっぱなし…でも2枚組の1枚目だけ。ちょうど今かかっている2枚目の方は、ショウが大好きな『ハーフムーン』が入っているから、借りずに残しておいたっけ」

そして、ミユキは直感的に言った。
「マスター、このCDは一体、誰の物ですか?」

「あぁ…それなら」
そう言って男は、店の奥から誰かを呼んだ。

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