いつかまた〜74〜

友愛数  2009-07-03投稿
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「ちさ、今日こそクローバー取りに行こう?」

ずっと後回しにしていたラストシーン。完成間近となってた僕らの制作。そろそろ撮影に入らなきゃならない。

ちさは、

「う…、うん…」

なんとも言えない微妙な返事。

ちさが、僕と響の間に挟まれて、どうしていいか分からないでいるのは分かってた。

僕と響は、しばらくちさの気持ちを無視して、突っ走ってきた。



放課後。


ちさと、クローバーとしろつめ草を、根っこから掘り出した。

「これでラストシーン出来上がるな」

そう言って歩く僕の後ろ、

「…トーマ」

ちさが話かける。

「ん?」

「……私が好きなのは…トーマだよ…?」



分かってる。


いい加減な気持ちで、ちさが僕に想いをぶつけてきた訳じゃない。ちさは、そんな事ができるような人間じゃない。


分かってるけど…


「…うん」


それだけしか言えなかった。

不安げな表情のちさ。

口ベタで、自分の気持ちを言葉で表現するのが苦手なちさ。その表情が
『どう言えば、分かってもらえるんだろう』
という意味だという事に、この時の僕には知るよしもなかった。

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