東の空を赤く染めながら昇る日。
日の光が差し込むカーテンの隙間。
隙間から伸長し、やがて私に達する光。
光を感じ、そこから暖かさを享受する頬。
頬からの温もりが伝えるさわやかな目覚め。
……まだ目覚まし鳴らないのかなぁ。
よし、それじゃあ少し早起きしちゃおう。
まずは目覚まし止めなきゃ……
私は目覚ましを手に取った。
「え!? ……ちょっと!! 目覚まし止めたの誰?!」
目覚まし時計の時間はすでに学校へ遅刻か否かギリギリの時間。
私はベッドから飛び降り、慌てて服を着替える。
髪はボサボサ。服はヨレヨレ。低血圧で頭フラフラ。もう最低!!
制服へと着替えながらふと背後からの視線に気付く。
タイミングを計り振り向くと部屋のドアが急いで閉められる。
「よく毎日、毎日覗いて飽きないなぁ」
ため息混じりに独り言を呟く。
誰が覗いていたのかはすぐに分かった。
さっそく問い詰めるため着替えを終えた私は急いで部屋を出てキッチンへ向かう。
キッチンに入るとお味噌汁の匂いが私の包む。
どうして、昼食や夕飯にはお味噌汁の匂いがあまりしないのだろう?
でも、これがあるから感じられる今日の始まりだよね。
……って、浸ってる暇はない。すぐに犯人へ大声で怒る。
「もーっ!! 目覚まし止めたのお母さんでしょ!!」
私の言葉なんてお構いなしに、食事の用意をしながら母は落着いていた。
「当たり前です。今日はそういう日なの」
意味無く腰に手を当て胸を張る母に腹が立つけど、今はそうもいっていられない。
「とにかく、もう行くからね」
「待って、ちゃんと朝食をとって行きなさい!!」
母はキッチンを出て行こうとする私の腕を掴んで強引に引っ張る。
こういうときだけやけに力強いんだから。
「そんな暇ないって。もう……」
ずっと腕を掴んでいる母を振りほどいていけるほど私は強くない。
なんといっても母は……止めておこう、考えるのも馬鹿馬鹿しい。
それに折角作ってくれたのに食べずに行くなんて私には出来ないよ。
観念して私は用意されていた箸とお茶碗を持とうとした。
「駄目っ!!」
無常にも伸ばした手の甲を母は手ではじく。
私は痛む手を引っ込めてさする。