誰かが近付いて来る…
さっきは確認して
なかったが、ドアに鍵が
着いてる…。
僕はドアの鍵を閉め、
息を潜めた。犯人なら
鍵を持っているはずだ…
他に被害者が居る
可能性もありえる。
だが、自由に歩き回れる
だろうか?
さっきのあれが真実
なら、殺されはしない
であろう。
足音が止み、ドアノブに
手をかけた感じがする。
ドアノブを回そうと
してるが、回るはずが
ない…。
鍵を使う気配もない。
他にも被害者が?
いや、罠かもしれない。
「すみません、中に誰か
居ますか?居たら返事を
お願いします。」
女性の声…下手に返事を
するのは控えるべきだ…
男を騙すのには女を使う
のが1番有効な手段だ。
とは言え、そんな事を
する意味があるか?
反応で確かめるか…。
「こちらは神崎 零、
『カミザキ レイ』
貴女は?」
正直、応答したくない
ところだが…状況が把握
出来ない今は仕方ないの
だろう。
「神崎さんですね。
私は龍堂 藍
『リュウドウ ラン』
と言います。」
「ここを開けてもらえ
ないでしょうか?
何が起きてるのかが
わからなくて。」
声からは平静を装おう
としてるが、不安が
感じ取れる。…演技?
とは考えられないか…。
鍵をゆっくりと開けて、
ドアを…ドアを
開けた。
そこに居たのは口調に
対して…どこか、幼さが
残るような見た目の
少女だった。