…いつもと変わらない風を大切に思う。きっと左隣に翔太がいるから…それが人間。
『指輪して来ちゃって…バレそうになっちゃった。』『はは…ドンマイ。』『ねぇ!いっつも思うんだけど、なんで翔太はそんに余裕なの?意味分かんない。』『なる様になるんじゃん?』『そうかな?…じゃぁ、みんなにバレたらどうする?』『いいんじゃん?もう疲れたしょ。みんなに秘密にしてるの。』『……。』『秘密にしてた方が良かった?』『……ずっとね、秘密なんて持ったことなかったから。隠したいことはあっても心配かけちゃいけないって思って、お母さんとか友達とか必要なことは全部話して来たの。だから、翔太がね、秘密にしようって言ってくれた時、嬉しかった。誰にも知られちゃいけない。二人しかしらないって考えるだけで、自分は誰かから必要とされてるのかなって思えたりしたんだ…。』『……そっか、したら秘密の儘にする。』『うん…ありがと。でも、翔太が話したくなったら言って。その時は話そ。』
秘密があることは、幸せだった…自分にとっては生きてる証。翔太のモノだって言う証だから。
『ねぇ、一つ聞いていい?』『なに?アイ』『アイになんか隠してることある?』『…えっ?なんで?』『早坂翔太とは…どんな関係?』『どんなって…』『付き合ってるの?クラスでアンタん家から早坂が出て来るトコ見た人がいるんだって。』『…別に、幼馴染みなだけだよ。お母さんと翔太のお母さんが、親友だから昔から良く遊んでただけ…。別にどう言う関係とかないけど…。』『そうなんだ。付き合ってるなら、言ってほしかったなぁって思ったから!』『付き合ってないよ。幼馴染みだもん。』━━秘密にしてたものが、嘘になった。アイに嘘…。この嘘がバレた時、アイはどんな顔をするのかな。
きっと、翔太にこの話をしても「いいんじゃん。別に。」で終わるだろう。だから話さないでおく。