学校からの帰り道、いつもより遅くなってしまった私は、いつもとは違うルートで帰ることになった。
そのルートは、学校から少し離れた場所からバスに乗るルートであった。
駅と団地を結ぶ線なので朝夕のピークを過ぎると利用客も減り、貸し切り状態でバスに乗ることができた。
しばらく乗っていると、バスの揺れでウトウトとし始めてしまった。
寝るか寝ないかのときに
突然
ピンポ〜ン
下車のブザーが鳴った。
誰か降りるのかなと思っていると、
ふと、気付いた。
このバスは自分しか乗ってないんじゃないか
だから、荷物で間違って押したかなと思って
「運転手さん、間違いです。」と言うのにもかかわらず
ゆっくりとバスは停まった。
ドアを開けて、何かを確認するようにして、また走り出した。
不思議な行動に戸惑っていると、運転手が話しかけてきた。
「最近ね、事故あったでしょ?すぐそこで、あのあたりからかな?目には見えないお客さんって言うのかな?乗って来る様になったのは」
「やっぱり家に帰りたいのかね?」
「あっ!そうそう、このバスね、お客さんは見えないだろうけど、お客さんの後ろに、青白い顔した人がたくさん座っているのが見えるんだ」
私は、ゾクッとして後ろを振り向けなかった
そして、急いでこのバスを降りた。
ふと、思い出したんだ
その事故は、バスと乗用車の事故だったということに…