おわり 前編

えり  2009-07-05投稿
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ふたりの独りぼっちは、ひとりの孤独よりも、苦しいものだと思っていました。

すぐそこに、腕があるのに触れることすら出来なくて、ずっと背をむけたまま、それでも、永遠を感じていました。


正確に言うと、「終わり」という言葉を知らなかっただけかもしれません。


隣にいる事が日常で、苦しくても、寂しくても、この日常は、続いていくものだと思っていました。


だから、私は指輪をはずしたのです。カタチがなくても私たちは大丈夫だから。


だけど本当は、そっと抱き締めて、大丈夫だと、床に置かれた指輪を元の場所に戻して欲しかった…ただのそれだけでした。


きっと、人の気持ちを試した罰なのでしょう。


その指輪の隣に、同じように、そっとお揃いの指輪を置いたのです。


私は、この時初めて「終わり」を感じました。

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