School Life 〜中学の告白〜41

詩音  2009-07-06投稿
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そして次の日の昼休み。

音楽室に着いたのは鈴が先だった。

「…。」

無言で柚希が手を挙げる。

「で、何?」

わかっているだろうが、柚希は問いてきた。

「他に好きな人が出来た。だから別れて。」

柚希が俯いたままだった顔をあげて、鈴を見た。

柚希は驚愕したが、その様子も鈴には映らない。

(こんな弘瀬見たことない…ぞ…。)

驚愕というより恐怖だった。

死んだような微動だにしない意志のない冷たい目。少なくとも柚希にはそう映った。

(弘瀬…俺のせいだよな。)

ただただ別れることにしか専念しないかのような目。

もちろんこんな鈴を見るのは初めてだった。

「…わかった。」

承諾しざるを得ない。

「じゃあ。今までありがとう。」

鈴はそう言ってこの場を立ち去ろうと思った。

(…あ。)

鈴の目から涙が出てきた。

それは柚希にもわかった。

「…弘瀬?」

緊張が和らいだせいか、鈴は目に涙をため込んでいる。

「ごめん。」

鈴はそう言って少し柚希の方を見たが、振り返ることはせずに階段を急いで降りた。


教室に着くと、幸いなことに人は少なかった。

鈴はそのまま自分の机に突っ伏した。



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