さぐり ?
1週間ほど経ったある日、雪子は2通目のラブレターを、俊章に手渡した。
この1週間、俊章は、雪子とその取り巻きを観察していた。
それを察知したのか、雪子にもその周りにも、余り変化を感じなかった。
休み時間に俊章は、トイレの個室に入って、手紙の封を開けた。
『こんにちは内田君』から始まり、この1週間、俊章は、逆にその子に観察されていたらしく、その感想が綴られていた。
それは、誉め讃える内容ばかりだが、俊章にとっては、嬉しさを通り過ぎて、薄気味悪さを感じる物だった。
3日前のホームルームで、学校祭での出し物を何にするかと話し合った。
その時は、雪子がクラス委員として、取りまとめをしていたが、余り意見が出ず、困り果てていた。
その時俊章が『お化け屋敷を作ろう』と提案すると、その方向で、話がトントン拍子で進んで行った。
手紙の中には、その事も書かれていた。
俊章は『あれっ!』と思った。
雪子は、手紙の主は『違うクラスの人』と言ってた。
でも今日の手紙の内容は、同じクラスでなければ、分からない事ばかりが書かれている。