燈燕  2009-07-06投稿
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「サク!!歩くの早いよ」

4,5メートルほど後ろから声が聞こえた。

一時間ほど前は隣で歩いていたはずの、ジャックだ。

「ジャックが遅いだけです。急がないと日が沈んじゃいますよ」

「ば…馬鹿言うな!かれこれ朝からなーんにも食ってねぇんだぞ?歩けるわけがないだろう」

サクヤは立ち止まり、後ろを振り返った。

「あと10分もしたらトキタ村に着きます。それまで我慢してください」

「腹減って動けねぇよ」

駄々をこねるジャックを置いて、スタスタと歩き始める。

「食料を一気に食べたのはあなたでしょう?私の分まで食べておいてそれはないですよ」

それからサクヤは立ち止まりもせず、振り向きもせず、ひたすら歩いていった。

ジャックはサクヤの後を追うように小走りで、よろける体を前に動かしていった。



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