「いやー、正太がそこまで思ってるとは思わなかった。」
正太の熱意が伝わったのか、隼人がようやく口を開いた。
「俺、テストで点取れるよう頑張るわ。あっお前には勉強で負けても野球じゃ負けねーからな。」
隼人の決意を聞いた正太も、いつか隼人と試合で相見える(あいまみえる)日への思いをいっそう強くする。
幼なじみで中学時代にはバッテリーを組んだほどの仲の二人が、この時からライバルに変わった。
「それにしても、はわぁはわぁ 眠いな。」
少しリラックスしたのか、隼人がお決まりの欠伸を漏らす。
正太「うわっもう11時だな。お前、明日も配達あんだろ?今日はこれぐらいにしてまた土曜日来い。」
二人は部屋を出て、玄関に向かう。
隼人「おばちゃんもう寝てるみたいだな。ごちそうさまって言っといてくれ。おじさんは今日どうしたん?」
正太「あー言っとく。親父はまた懇親会かなんかで遅くなるっぽい。」
正太はその辺にあったサンダルを履いてマンションの軒先まで行き、隼人を見送った。