運命とかそんなんじゃない。
ただ単に一緒にいただけ。
何故かそこにいただけ。
あの日、少し酔っ払った君がふらついて僕に掴まった時。
君は今まであんなに笑っていたのに、僕の腕に掴まってボロボロ涙をこぼした。
その訳は
何となく分ってた。
けど僕は黙ってた。
君はあの時思い出してたんだよね。もう二度と会う事の出来ない人を。
どれだけ愛していたのだろう?どれだけ辛かっただろう?
君の痛みは、悪いけど僕には分らない。
楽しそうにお酒を飲みながら「あなた私の恋人に似てる」何て笑ってたけど
きっと君は、僕といると辛いよね?
僕たちの横を通り過ぎる人は冷たい目線を僕に向てた。
勝手に君が泣き出したんだけど、僕のせいでもある。
どうしたらいいだろう?
どうすれば君を救えるのだろう?
そっと肩に手を置いて
「いいんだよ。泣いても。」
これが今僕に出来る精一杯。
君は僕の胸に顔を押し付けて声を上げて泣いた。
ちょっと困ったけど、これで君が少しでも救われるなら構わない。
「ありがとう…」
マスカラで真っ黒な目も鼻水が出てピカピカ光ってる鼻も今日は別に気にならない。
涙が出たって事は、きっと君の中で理解出来たって事だよね?これが現実だって。
帰り際に「まだ一緒にいて」そう言われたけど、僕は断った。
これ以上一緒にいても、君に何も与えられない。
また辛くなるだけだよ。
だから僕は帰る。
逝かなきゃいけない所へ。
でも僕は、いつでも君の中にいるから。ずっと見守ってるから。
僕を忘れて
いいよ。