ハーフムーン (54)

 2009-07-07投稿
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マモルは、そんなミユキの視線に気付くことなく、バルコニーの手すりに掴まってピョンピョン飛び跳ねていた。

「マモル、アリガトね」
ミユキがそう言うと、マモルはキョトンとした表情で、ミユキを見つめた。

「いや〜、どういたしまして…って、何が?」
マモルが頭を掻く真似をしながら答えると、ミユキはフフフと笑って、それ以上は何も言わなかった。

「さぁーってと!もうすぐメシにしようぜ。さっき、カフェのマスターが晩メシ作ってくれるって言ってたぜ。その前に、ちょっくら散歩に行って来るよ。ミユキは疲れただろうから、部屋で休んでな」
マモルはそう言って、砂浜の方に向かって歩き出した。

残ったミユキは、沈む夕陽を名残惜しそうに眺めていた。

夕焼けが窓を抜けて、柔らかなログハウスの部屋を、まるでスポットライトのように照らしていた。

ミユキが部屋の方向に目を向けると、光がちょうどツインベッドの中間の、ナイトテーブルに当たっているのが分かった。

そこには、マモルの二つ折りの財布が置かれたままになっている。

あまりキレイとは言えないマモルの財布に、ミユキは最初まったく興味を示さなかったが、札入れの隙間から、はみ出ている写真のような物を発見した時、思わず目を奪われた。

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