「ハァ・・・ハァ・・・くそっ、はなせ・・・!」
龍一はジョウの腕を振りはらい、自分の足で立った。腹が痛い。曲がり角四つ、ついでに急停止したときのも合わせ、合計五回の衝撃は、かなりこたえた。
「ハァ・・ハァ・・」
(いってぇ・・・)
龍一は腹を押さえた。
「だいじょぶ?」
ジョウが顔を覗き込む。
大丈夫に見えんのか?、と言いたかったが、その前に龍一はあることに気が付いた。
(こいつ・・・俺かかえて走ってたのに、汗かくどころか息一つ切らしてねぇ・・・)
むしろ、息を切らしているのは龍一の方だった。
「?」
ジョウは平気な顔で、不思議そうに龍一を見ている。
(しかも・・・あのスピード・・・『まぁまぁ』、でこんなに・・・)
龍一はジョウの体を見た。この細い体のどこに、そんなパワーが有るのだろうか・・・?
「おい、宮ノ陣。」
「あっ、ジョウでいいよ。ジョウで。」
「ジョウ、この部屋に入ればいいんだな?」
龍一は目の前のドアを指差しながら言った。
「そうそう、早く入ろ。」ジョウはせかすように答えた。
(いける・・・ここで・・・強くなれる!)
シュン
二人は、同時にブリーフィングルームに入った。