「で、私に何を協力しろって言うの?」
僕はかつてクラスメイトでもあり、クラス委員でもあった彼女に連絡をとった。昨日のことである。
「10年前の8月25日のことを思い出して欲しいんだ。」
「10年前?8月25日??」
彼女── 新藤 あおいは、コーヒーを手に訝しげな表情で僕を見つめていた。
「同窓会の案内状と同じ日付じゃないの」
「気にならないか?8月25日の午後3時に約束の場所に集合なんてさあ」
「じゃあ・・・・あなたもみんなと同じように、覚えていないって事か。」
あおいは、バッグから1枚の写真を取り出した。
僕とあおいと色の白い少女がそこには写っていた。右下の日付は10年前の8月25日!
「あおい?この写真・・・・・」
「この写真を見てもなにも思い出せない?神尾君・・・」
写真を手に取った僕は・・・・・・・何か記憶の糸を手繰り寄せようと努力した。
「神尾君、その写真あなたに預けておくから。ちゃんと思い出して!あなたは思い出さなくちゃいけないのよ?」
あおいは、そう僕に言い放つとその場を立った。
── その日も、強い陽射しが路面を照りつけていた。