蛙の願い(2)

安藤  2009-07-08投稿
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 俺達が入学してから2ヶ月ちょっと。梅雨のじめじめした空模様は俺の心の象徴。それにしてもこの学校はなんだい。厳かな門をくぐるところから学生の一日が始まる。傍らに「私立藤宮高等学校」の刻が。俺は自転車通学だから、校舎を横切ってチャリを停める。自転車置き場はかなり広い。何しろこの学校の大半の生徒が自転車通学なんだ。実は最初に違和感を感じたのもそこなんだ。
自転車を置きに行くヤツと校舎に向かうヤツとではすれ違う構造になっている。当然すれ違いざまに「おはよー!」「おーす」みたいな風景が生まれるはずだった・・けどこの藤宮高校ではよほどの物好きでないかぎりそんなことしない、そう絶対しない
 教室に入り席につく。一息ついてから隣の大谷に話しかける。「おはよ!」大谷「お、おはよう。松川君・・」(言いそびれたが俺の名前は松川)俺「いやあ、昨日の笑点ねえ・・云々」大谷君は困った顔になる。どうせ昨日は塾から帰ってから予習に精を出してたんだろ。まあ、話題がないのはいつものこと。大谷「雨・・止まないね・・一次限目は英語か・・予習してきたかい?」いつもの流れになった。俺がおちゃけて「いやあ、昨日はテレビ見まくってたからね、悪いけどノート見せてよ」と言うのが定石だ。そしてキミは不敵に笑うんだろ?ねえ、そうだろ?



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