わずかにマモルの財布から、はみ出ていた写真には、二つの人の頭が写っていた。
茶色っぽい髪と、黒い髪の、二つの頭。
しかし髪から下は、財布に隠れて見えない。
だが二つとも見覚えのある髪型だった。
ミユキは、人様の財布に触れてはいけまいと、努めて無関心を装ったが、その二つの人影がどうしても気になる。
とうとうミユキは、誘惑に打ち勝つことが出来ず、マモルの財布から写真をそっと引っ張り出してみた。
その写真を目の当たりにした時、ミユキは信じられないほど衝撃を受けた。
なんとそこには、肩を組んで笑っている、ショウとマモルの姿があった。
二人の笑顔は、まるで昔から気心が知れた者通しだけが見せる、親友の顔そのものだった。
ミユキは混乱していた。
この先、どうすればいいのか分からなかった。
マモルが帰って来たら、何て声をかければいい?
このまま知らない振りをしておくべきか?
マモルがショウとの繋がりを隠してたことを、責めるべきか?
それとも短刀直入にショウの所在を聞くべきか?
そもそも、マモルは何者なのか?
ミユキがこれまで一番信頼していた人間が、一瞬にして一番信じられない人間に変貌してしまう程の、衝撃的な事実だった。