職業は、簡単に言えば何でも屋。格好良く言えば請負人。ちなみに駆け出し三年の、まだ大した仕事も任されないぺーぺーである。
現在は、半壊した廃屋をあるツテから間借りしてそこに住み込んでいる。
何故未成年が働いているのかとか(というか何故働けるのか、とか)、何故未成年がこんな場所で二人暮らししているのかとかは、込み入った事情なので今は割愛させてもらう。
一応電気や水道は通っているので、半壊だからといって生活に支障を来すわけではない。
詰まる所は、住めば都、ということだ。
「今、何見てたんだ?」
「…ニュースです」
小さく、呟くようにそう言って、彼女はまた、一枚の煎餅を手に取った。
――彼女の名前は奏。
と言ってもこれは本名ではない。俺が勝手につけた名だ。
自分本来の名は無いと初めて会ったとき言われたので俺があることからそう呼ぶようになったのだ。
名が無ければ苗字も無いので形式上は宮野奏と名乗っている。
色々あって、俺と同居することになった前歴不明者。
歳は俺より一つ下で十七歳らしいが、俺は嘘じゃないかと睨んでいる。
理由は、幾らなんでも発育悪すぎだろうということから。