『ありえない…』
どうしてあれだけの血を流しているのに生きてられるんだ?
いや、そんなことよりあいつ多分こっちにくるぞ!
ドン!
ドアを誰かが叩いている。誰か?あいつに決まってるだろう。
『開けろ!開けろ!開けろ!開けろ!開けろ!開けろ!』
ドン!ドン!ドン!
女の声とは思えないほどひどい低い声。
恐怖でまともな思考ができなかった。
『…ち、ち…畜生!近所迷惑だぞ!さっさと消えろよ!』
…そうだ!深夜こんな大騒ぎをしているのに誰もこない。
『開けろ!開けろ!殺してやる!アハハハハハぁ!』
ガリガリガリ!
『くそ!どうなってやがる』
俺は恐怖感が絶頂に達し、床にうずくまり耳を押さえてドアの向こうにいる『奴』が消えてくれるのを祈った。
頼む!消えてくれ!
心の中で何度も何度も祈った。
チュンチュン…
『…ん…』
朝だ。
俺は布団に寝そべっている。
『…へ?』
何?今の夢?マジで?寿命三年くらい縮まったぞ…。
『ったくよぉ…』
俺は新聞をとりに玄関へ向かった。
にしてもいやにリアルな夢だったな…。
『ありゃ?』
まだ新聞きてねぇや。
しゃあない。腹減ったしコンビニにでも行くか。
ドアのカギをはずす。
ドン!
荒々しくドアが開いた
『やぁっと開いたぁ…うひゃハハハハハ!』
間近で見たその顔、血で赤いその顔。
間違いない
こいつ…
昨日別れた女だ
俺を恨んで殺しに来って訳か?
女が喋った。
『バァイバァイ』