キャッチボール 第16話

るー6  2009-07-08投稿
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その頃僕は、
「何で…こんな時間に家を出ていったの?」
母親からの質問責めにあっていた。
「…ここが嫌だったからだよ。」
「どうせあの子のこと…龍吾くんと話してたんでしょ!」
「友達と話しているのが…何が悪いんだよ!」
「悪いとかそういう問題じゃないでしょ!」
「これ以上龍吾くんに会ったら、引っ越しも考えるから!」
あまりにも異常な言葉に、僕の周りが、暗闇に包まれた。

4月12日、朝。僕の携帯が鳴った。
「メール?」
『おはよう。今日も一日頑張ろうな。』
龍吾…からだった。
「……。」
僕はすぐメールを閉じた。
龍吾の優しさが逆に、僕を苦しめていった。
放課後、
「じゃあね。」
僕の学校の友達と別れ、一段落した。
メールをチェックすると、龍吾からまたメールが来てた。
『みーくん、何かあったのか。辛かったら言えよ。』
僕がメールを返さなかったからか、龍吾は落ち込んでいると思っているのだろう。
まあ事実かも知れないが。
僕はその場に座り込んでしまった。
龍吾の優しさは痛いほど伝わってくる。
でも、僕は、親から言われたことを完全に破ってまで龍吾と遊ぼうとは、思えなかったんだ。
「またメールだ。」
メールを開くと、やっぱり龍吾からだった。
『母ちゃんが倒れた。今病院にいる。』
それだけだった。
僕はすぐ、この町の総合病院に行こうとは思わなかった。いや、思えなかった。
やっと僕は、メールを返した。
すべての思いを乗せて。

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