自分の声が思った以上に明るくて
少しだけ緊張は取れた
食事をしながらいつもと変わらない会話
ちゃんと笑い合えていたし恐れていた沈黙もない
私の不安は口にはしなかった
今はそれがいい
この笑顔が消えてしまうから
せめて今は楽しい時間であって欲しい
脳裏にあるのは苦しみだったけど出かかる言葉は飲み込んだ
お店を出ると貴方は私の手を握った
嬉しかった
だけど素直に喜べなかった
いつもの公園のベンチに座った
もうどうでもいい
考えるのは止そう
一瞬はそう思えた
貴方が優しかったから
だけどその思いは崩れた
貴方が私にキスをしようとした瞬間に解けた
キスを避けたのは嫌だったからじゃない
その行為に流されたくはなかったから
本当に何も聞けなくなってしまうから
その時の貴方の悲しそうな表情\r
直視出来なくて目を伏せた
息を飲んで目を閉じた
逃げてはいけない
進まなければ苦しみ続けるだけ
深呼吸を一つして貴方を見た
相変わらず悲しそうに私を見るから気持ちが萎えそうになる
『ねぇ』
やっと出た言葉
『何?』
貴方の不安そうな声
『正直に答えて欲しい』
『うん、何?』
貴方の不安そうな表情\r
『私の事、もう好きじゃないよね?』
口にして怖くなった
貴方の返事がどうなのか
『そんな事はないよ、変わらない』
手を強く握り貴方はそう言った
『嘘つき』
そう言ったら涙が溢れて来た