大好きな街で

LEON  2009-07-08投稿
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ちょうど
去年のこの季節。

私は夢中で
あなたを追いかけていた。

夏の太陽でアスファルトが焼ける。
陽炎で揺れるあなたの姿が消えてしまわぬように、私はいつだって日陰を選んで歩いた。

電車で揺られ、都会の雑踏を抜け、穏やかな河の流れが窓に映ると私は胸が高鳴る。

あなたの住む街が私は大好きだった。

感情の起伏が少ないあなたが、駅で待つ私を見つけて照れ笑いを浮べる。

「愛してる」なんて一度も言ってくれなかった。

でも、それでいい。

言葉では表しきれない想いが、ギュッと握られた大きな手から伝わってくる。

私は気付かれないように、あなたの日に焼けた横顔を見た。

全てが愛しい。

正直に言えば、あなたとは価値観も性格も趣味も違う。

けれども、そんな事は私にはちっぽけで、どうでもいい事だ。

ずっと一緒に居たい。

そう願っていたけど、あなたは決って時計の針が11を指すと車を出した。

「またね。」

素気なく手をふるあなたが遠くに消えていく。


もしかしたら、この想いは一方通行なのかもしれない。

時々不安が溢れて胸が痛んだ。


いつだったろう?
一度だけ

「またね。」

そう言った後にあなたが私の腕を掴んだ。

「帰したくない。」

初めての事に戸惑ったけど、私も帰りたくなかった。

あなたの帰り際の素気い態度も今は、理由が分かる。

あれから1年。

私の願いが叶う。
あなたとずっと一緒に居たいという願いが…。

私の大好きな街で、今日も私はあなたの帰りを待つ。



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